ドイツの日系企業に新卒採用されるのは難しい?
日本での学生の就活では、一般的に業務経験のないまま大学を卒業し、そのまま就職をする流れとなります。さて、それではこれが日本国内ではなく、ドイツの日系企業に就職したいと思う場合、新卒での採用枠というのはどのような流れになるのでしょうか?
今回のコラムでは、日本の大学卒業後、日本で働かずにそのまま新卒としてドイツの日系企業に就職することが可能なのかについて触れていきます。
ドイツで日系企業に新卒で入社するのは難しい
結論から言うと、日本の大学を卒業後、ドイツの日系企業に新卒として入社することは非常に難易度が高いと言えます。(もっとも、これはドイツのドイツ企業であっても同様で、基本的に日本の大学卒業後職務経験なしで新卒でドイツで就職することは極めて難しいと言えるでしょう)。 その理由としては以下の3つを挙げられます。
- 本社から駐在で来ている社員数が少ない
- 新人教育の予算が少なく、スケールメリットがない
- 同僚のドイツ人に説明がつかない
以下に、詳しく理由を見ていきたいと思います。
本社から駐在で来ている社員数が少ない
仮に本社に数百名、数千名の社員を誇るような規模の日系企業であっても、各国の支店に派遣される駐在社員数は限られています。少数精鋭で支店を健全に走らせなければならないのに、新人にゆっくりと基礎を教えている時間が意外とないのです。
また、駐在員の使命は本来、現地で雇う日本人の新卒を育てることではありません。収支の改善、営業エリアの拡大、現地の体制の改善、など、もっと経営の根幹に関わるようなタスクを抱えています。そのため、現場未経験の新卒に丁寧に指導する余裕も時間は本来ないのです。
世界共通で駐在員という制度はありますが、その駐在員の役割としては以下のようなタスクが挙げられています。
- 本社から支店への知識移転
- 統制
- 拠点間の調整
- 取引関係
- 自身のスキルアップ
かつては「支店の統制」といった任務が本筋で、そのために多くの駐在員が各国拠点に送られていましたが、最近では知識移転やスキルアップ、将来のリーダー育成と言った事由での駐在も増えてきました。もっとも、ここに現地で採用した新人の育成は入っていません。
新人教育の予算が少なく、スケールメリットがない
会社の経営状況にもよりますが、大量採用した新卒に丁寧に研修の場を提供するのは日本特有の文化と言えるでしょう。新卒に教育を施している時間にも給与は発生し、かつ備品、会議室、といった様々な付帯費用が投じられることになるわけで、基本的に日系企業は一人当たりにかかる研修の費用を、一括採用で同時に研修をおこなうことで乗り切るわけです。
ドイツに拠点を持つ日系企業の場合、規模的にも文化的にも、新卒一括採用をする土壌にはありません。ドイツ企業でも、新人に研修を施すというよりは、すでに戦力になる人材を調達してくることが一般的であるのと同様、ドイツの日系企業もこうした新人にリソースを割きづらいのです。 必然的に、すでにどこかで研修を終え、即戦力として活躍できそうな人材がドイツ企業でも日系企業でも重宝されがちという訳です。
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ドイツ人に説明がつかない
ドイツ人は新卒とは言え、大学できちんと専攻したことを活かせるポジションに就きます。ドイツの大学は入学は(比較的)簡単ですが、卒業が本当に困難です。つまり、学生はみなバイトをする時間も惜しんで勉強に明け暮れるのです。
そんな膨大な知識をインプットした人たちが、「自分の専門分野はこれだ!」と主張し、「だからこの会社に入ってこういうことができる!」と語る言葉の重さは、日本の平均的な文系大学生のそれとは次元が異なります。
大学時代に培ったスキルや実績でドイツの学生を上回るものがあれば、周囲のドイツ人は納得するかもしれませんが、こういった危険を冒してまで日本人の新卒を日本からわざわざ呼び寄せるメリットは薄いという訳です。
新卒でドイツで就職する方法
さて、それではドイツの日系企業に新卒で採用される方法がないかと言われると、そういう訳でもありません。実際には、日本の大学を卒業し、そのままドイツの日系企業に就職した事例もあります。その場合、以下のような事由が候補に挙がることでしょう。
- 即戦力として役立つ
- ビジネスレベルの英語を話せる
- 特殊スキルを持っている
- 学生の間に濃いインターンなどを経験している
要は、先の項目で触れた、「新卒を雇えない原因」を裏返し、応募者が即戦力になることを示すことができれば、①駐在に大きな手間をかけさせない、②研修費用を節約させられる、③ドイツ人も納得する、という採用事由が生まれます。
ドイツの大学を卒業し、ドイツで就職するようなドイツ人たちも、基本的には同じような方法で採用にこぎつけることになるわけです。最初の下積みである「インターン」を学生時代に経験し、大学を卒業する時点で曲がりなりにもすでに「未経験ではない」状況にもっていって置き、そこから就活をスタートします。 またインターン経験がなくとも、実務に直接役立つ技能は、やはりどこの国でも重宝されるものですね。
まとめ
結論として、平均的な日本人がドイツで新卒で就職するのは難しいと言えるでしょう。ただし前述の通り不可能ではなく、技能やインターンを通じた職務経験など、自身の実力を示すことができれば十分に可能だと言えます。また、完全に日本人が強みを生かしづらいドイツ企業と違い、在独の日系企業であれば日本人である、日本語が話せる、といった点がプラスに働き、比較的採用に結び付きたいと言えるでしょう。
こうした困難な道であることから、一般的にはドイツ就職に成功する日本人は、新卒ではなく日本で一度キャリアを積んでから転職するケースが多いです。これによって、少なからず日本のビジネス文化を習熟し、在独日系企業と本社の橋渡しなどの業務に携わるチャンスが生まれるわけです。 大学卒業時の年齢は22歳~23歳、大学院までいったとしてもまだ20代で、30代からキャリアを始める人も少なくないドイツ社会からみたらまだまだ若手の部類でしょう。
人生は長く、焦ることはないでしょう。果敢に新卒でドイツ就職にチャレンジするか、はたまた一度日本でのキャリアを挟むか、いずれにせよ失敗を恐れる年齢ではありません。
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