日本人が犯しがちなドイツの電車にまつわる罰金対象
ドイツ語で無賃電車は「Schwarzfahren」といい、意図していたにしろいなかったにしろ最低でも60EURの罰金が科されます。
※加えて、通常運賃の2倍の値段の費用を要求されたりと、どのような形になるのかは現場の判断に委ねられます。詳細に関しては「罰金カタログ(ドイツ語版)」を参照してください。
日本人の中には、わざわざ意図して無賃乗車をするような人は中々いませんが、ルールを間違って解釈したがため、意図せず「Schwarzfahren」してしまうことが少なくありません。ドイツに来たばかりの日本人の中でも、年間に数人はひっかかっている印象です。特に、新しい路線に乗る際、仕事のアポイントなどで急いでいる際、などは意図せず無賃乗車を犯してしまうことがあるので要注意ですね。
どんな時に罰金が科せられるのか、日本人が犯しやすいミスはどんなものか、順を追ってみていきましょう。
スタンプを押さなかった
ドイツに来たばかりの日本人で一番よくある「無賃乗車」のパターンが、買ったチケットに有効期限が印字されるスタンプを押し忘れていたことによって無賃乗車扱いされてしまうことです。特に、ローカルの各駅列車などは、「スタンプを押してから〇〇時間有効」というチケットが少なくなく、チケットを買った駅のホームや電車内で以下のようなスタンプマシンを探さなくてはいけません。
駅や町、チケットの種類ごとにこのスタンプが必要かどうかの判断は異なり(例えば、あらかじめ日時が印字されているタイプのチケットも存在する)、ドイツ生活が長い人でも、別の町に旅行した先でついつい忘れてしまいがちです。
二等車と一等車を乗り間違えた
ドイツの電車は、ぱっと見で2等車と1等車の区別がつかなかったりします。外から見れば「1等車ワゴン」みたいな記載があるのですが、乗ってしまうと判断がつきにくいことも(ドアなどで区切られていたりもしますが)。2等車の切符しかないのに1等車に乗ってしまったら、これも立派な罰金の対象となるので注意が必要です。
有効期限の確認ミス
定期券など持っている人はこの有効期限に注意が必要ですね。路線によっては月ごとの定期が違ったりするので、特に月が変わったばかりの日など、前の月の定期券を持ってきてしまいがちです。ちなみに、路線によっては後から「定期を持っていたこと」を証明することで、罰金を回避できることもあります。
また、同日のチケットでも「〇〇時まで有効」とか「〇〇時から有効」といったチケットも存在するため、やはり注意が必要です。このあたりの細かい規定は路線ごとに異なるので、新しい土地では少し面倒でもあらかじめ規定を読むか、駅員さんに有効かどうかの聞き込みをおこなうべきでしょう。
身分証不携帯
一部の周遊チケットなどは自身の身分証明書と紐づいており、自身の身分を証明できるものがないとこれも罰金対象になります。原則として、日本人である我々がドイツで外出するときは、滞在ビザのような身分証明書を絶えず携行するようにしましょう。
Bahncard不携帯
Bahncardといって、所持していればチケットが安く買える身分証のようなものがあるのですが、これも電車に乗るときは常に携行し続けないと、不当に安いチケットを買ったということで罰金対象になります。最近ではオンライン上で保存できるタイプのBahnCardもあるので、忘れてしまいがちな人は念のためアプリをダウンロードしておくと良いかも知れませんね。
自転車のチケットを買っていなかった
ドイツの電車は自転車を持ち運ぶことができるのですが、その際に自転車のチケットも一緒に買わないといけません(人間ほど高くなく、近距離の電車であれば3€~4€程度)。
これは、自転車もチケット代が発生することを頭にいれておけば回避できそうな罰金ですが、ドイツの定期券や一日乗車券の中には「自転車も含む」ものと「自転車は含まない」ものとが混在していて、ややこしい印象です。一般的には、1週間を超えるようなチケットですと自転車を含まないものが多く、逆に1日乗車券や週末乗車券などでは、自転車も含んでいることが多いでしょう。
似たようなケースで「子供〇人」まで同乗可能、みたいなチケットもありますが、こちらも必ず最初に規定を読み込むようにしましょう。
間違えた電車に乗った
これも日本人のよく犯しがちな罰金対象です。故意に生じることはなく、大抵は「乗る電車を間違えた」「ホームが変わったことに気が付かなかった」という不可抗力的な事由によって発生します。 ドイツの電車は30分や1時間程度平気で遅れてくるのですが、その際に駅のホームがころころ変わり、チケットに記載されている通りのホームから乗車しても、お目当ての電車ではなかったということが多々あります。
特に、Spar Preisといって、安い代わりにそのチケットに記載されている列車にしか乗ってはいけないというチケットを購入している場合、他の電車に乗ってしまうと罰金対象なので注意しましょう(ただし、NVと呼ばれる短距離路線はどれに乗っても良い、電車が遅延した場合は他の電車に乗ってもいい、など色々温情措置はあります)
駅を乗り過ごした
日本では、切符を買う→改札を通る→電車に乗る→目的地に着く→改札を出る、という「改札」の存在によって、無賃乗車はほとんど起こりえないか、あったとしても故意の犯罪ですが、ドイツでは今回紹介してきたように、不可抗力で起きてしまうことが少なくありません。
電車内でうとうとしてしまい、ついつい自身の目的地を乗り過ごしてしまった、この場合も残念ながら罰金の対象となってしまいます(電車がとても混んでいて降りられなかった、場合は証明できればセーフという事例もあるようです)。
目的地にはたどり着かず、かつ罰金を払わなくてはいけない、正規料金で再度目的地までのチケットを買わなくてはいけない、と踏んだり蹴ったりの目にあうので、くれぐれもドイツの列車内では寝過ごさないようにしましょう!