ドイツのFolksfest（民族祭り）の特徴とスケジュール

ドイツでは、暗くて寒い冬が終わる4月から秋にかけて、Volksfest（フォルクスフェスト）と呼ばれる伝統的なお祭りが各地で開催されます。2022年はコロナ禍で中止されていた世界最大規模のビールの祭典＝オクトーバーフェスト（ミュンヘン）も3年ぶりに開催されることが発表され、大変盛り上がりを見せました。

※当記事に書かれた日程は2022年のものです。2023年のスケジュールはアップデートがあり次第更新いたします。

Volksfestの特徴

日本の夏祭りなどと比べると、だいぶ大規模である、と多くの日本人が感じるのではないでしょうか。もちろん祭りによって規模と手の込みようはさまざまですが、大きなものになると屋台だけでなく、終了後解体してしまうのがもったいないくらいの立派な仮設レストランやビアホールが建設され、移動遊園地も設営されます。

移動遊園地には観覧車やメリーゴーランドはもちろん、ジェットコースターやフリーフォールなどの大規模なアトラクションが作られることも珍しくありません。音楽ライブのステージやトランポリンのような子供向けエアー遊具が設置されているイベントもあり、どの年齢層でも楽しめる内容になっています。

また、地域の特色を生かしたパレードや大規模な花火の打ち上げが行われることもあります。食べ物の屋台には、その地域の特産品やその季節が旬のものが登場しますが、ソーセージとポメス（フライドポテト）は地域を問わずお祭りに欠かせない人気の屋台フードです。

春の訪れを歓喜する "Frühlingsfest" / "Maifest"

ドイツは地理的に日本よりかなり北に位置し、厳しい冬の寒さが長く続きます（体感的には10月〜3月くらいまで1年の約半分が冬）。ドイツの冬は日照時間が短く、ビタミン不足や鬱症状に悩まされる人も少なくありません。実際ドイツの首都・ベルリンと東京の12月の平均日照時間（2021年）を比べてみると、33.4時間（ベルリン）^※1と172.4時間（東京）^※2と6倍近くの差があります。

※1：Deutscher Wetterdienst（DWD） ※2：国土交通省 気象庁

そんな冬を乗り越えて迎えた春！この季節には、待ってましたとばかりに各地で祭りが始まります。それがフリューリングスフェスト（Frühlingsfest：春祭り）や マイフェスト（Maifest：5月祭り）と呼ばれるお祭りです。

5月1日のメーデー前後に行われるのがマイフェスト。マイフェストでは、広場にマイバウム（Maibaum：5月の木）と呼ばれる木のポールを立てたり、マイバウムの周りでマイタンツ（Maitanz：5月の踊り）と呼ばれるダンスをする伝統があります。マイバウムもマイタンツも、春を迎える喜びを表したものと言われていて、おもに南ドイツで行われている風習です。

この時期のお祭り

短いドイツの夏を謳歌する "Pfingstkirmes" / "Sommerfest"

気温が夏に近くなる6月から8月にかけて開催されるのがプフィングストキルメズ（Pfingstkirmes：精霊降誕祭フェア）やゾマーフェスト（Sommerfest：夏祭り）です。キリスト教の祝日「プフィングステン」（Pfingsten：精霊降誕祭）^※3から夏休みと、6月〜8月は学校の休みが集中していることもあり、家族向けのお祭りが数多く開催されます。ちなみにドイツの学校は州によって長期休みの期間が異なるので、日本のようにみんな一斉に休みということがありません。

※3：2022年は6月5日（Pfingstsonntag）・6日（Pfingstmontag）

この時期のお祭り

実り豊かな季節を体現する "Herbstfest" / "Oktoberfest"

秋は日本でも「実りの秋」「食欲の秋」で知られるように、秋の訪れを感じる9月に入るとドイツでも食品と結びついたお祭りが数多く開催されます。玉ねぎやプラムをテーマにしたツヴィーヴェルキルメズ（Zwiebelkirmes：玉ねぎフェア）やプフラウメンキルメズ（Pflaumenkirmes：プラムフェア）など各地の名産を名前に冠したイベントも見受けられます。 ミュンヘンで有名なオクトーバーフェスト（Oktoberfest：10月祭り）も、この時期はドイツ全国各地で開催されます。

この時期のお祭り