ドイツのブラック企業事情とその避け方について

サビ残、自爆強要、パワハラ、等々・・・日本で耳にする類の「ブラック企業」というのは、ドイツでは中々見つけられません。というのも、労働法で厳格に縛られたドイツにあって、基本的に暴力やパワハラは会社の存続にかかわる重要な不祥事に発展するからです。 とはいえ、俗にいう「劣悪な仕事環境」という定義でのブラック企業はドイツにも多数存在しており、そうした企業は就活中のドイツ人などからも忌避される対象です。今回の記事では「ドイツのブラック企業事情」と、そのブラック企業を避ける方法について紹介します。

ドイツのブラック企業事情

日本でいうところの「ブラック企業」の用語は日本特有のもので、ドイツには似たような呼称がありません。一般的には「Schlechtes Arbeitklima」「Schlechte Arbeitkultur」と言った形で、ストレートに「Schlecht(悪い)」をつける呼称が用いられたり、「Giftig(毒のある)」といった厳しい用語が用いられるケースもあります。

ドイツの就職支援ブログKarrier Blogは「劣悪な職場環境」の例として「一日中机に座らされる」「優しい言葉をかけてもらえない」「休憩がない」あげており、日本のニュースなどで散見される過労死を伴うような苛烈なブラック企業と比較すると、随分とマイルドにも思えますね。ちなみに、ドイツの若年層の実に3割近くが「自身の職場環境は劣悪である」と回答しているというデータもあります(参照:Berliner Morgenpost)。

ドイツにもサビ残、休日出勤といった文化はなくはないのですが、基本的にはマネージャークラスが自発的に行ったり、仕事柄(医療関係者など)仕方なく行われるケースが多く、度を越した劣悪な仕事環境になると定期的にストライキのような手段に出るのがドイツ人労働者の特徴です。

では、ドイツではブラック企業に気を付ける心配はないのかというとそういうわけではなく、むしろドイツ人と比べて「おとなしい」と見なされる日本人に対し法外に多大な業務を押し付けたり、こき使ったりといった企業も少なからず存在します。また、ドイツ人の中には言葉遣いが荒々しい人間も少なくなく、そうした仕事環境で仕事をし続けると心身を擦切らしてしまい、早期退職や早期帰国の原因になりかねません。

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ドイツのブラック企業を避ける方法

こうしたドイツにも点在している知られざる「ブラック企業」を避けるにはどのように注意すべきなのでしょうか?

転職サイトのレートを見る

日本でいう転職会議のようなサイトがドイツにもあり、それが「Kununu」と呼ばれています。「キャリアと給料」「社風」「仕事環境」「多様性」の4つの評価軸から会社の労働環境を総合評価し、中の人の会社評価・口コミなども覗くことができます。

結構厳しめの評点となっているので、3.0を超えていれば比較的に安全圏と言われます。もっとも、ドイツ人の評価基準として、高い給与の会社や教育制度のしっかりしている大企業が高得点となる傾向にあるため、日本人の軸とする「仕事環境」「人間環境」などはややおざなりにされることがあります。

また、Kununuには社員(もしくは働いていた人)による良い点、悪い点の口コミも書かれており、転職・就職の参考に使用するのに役立ちます。

面接時の雰囲気

最も、企業によっては部署によって雰囲気が異なっていたりと、必ずしもサイト上の評価が適切であるとは限りません。最終的に自身が仕事をすることになる同僚や上司の雰囲気というのは、面接時に見極めておく必要があるでしょう。

一般的に(コロナ時は例外的にオンライン面接が増えたものの)、ドイツの会社は面接時に直接顔を合わせてのインタビューを好む傾向にあります。そのため、面接時に会社に赴くのは、会社がこちらを見極めるのは勿論、こちらが会社の雰囲気を見極めるのにも重要な役割を背負っているわけです。

  • 受付に人がいるか、機能しているか
  • 全体的に会社がキレイか
  • キッチンやトイレが整理整頓されているか
  • 働いている人がにこやかか

この辺の「雰囲気」というものは、実際に現場に行ってみないと判断のつかない部分も少なくありません。そのため、電話やオンラインでもいいよ、と言われても、極力現場での面接の流れになるようにお勧めします。

若い企業・ベンチャー企業

勿論、全てが全て、というわけではありませんが、比較的若い企業、ベンチャー企業というのは既存顧客が少なく、イケイケの営業スタイルであることが少なくありません。基幹事業が脆弱な場合、あとは安価な営業力にものを言わせガンガン新規をとってくるスタイルで、この「安価な営業」に自分がなってしまうとかなり大変です。

それこそ、冒頭のブラック企業の定義にもあったような、朝から晩まで電話漬けで、ノルマ縛り、休憩さえもいかせてもらえないような仕事生活の典型例です。もっとも、歩合やボーナスが弾んでもらえ、成果さえ出せればあとは休んでも何も言われないので、新規営業が好きな人には天職かもしれません。

一方で、新興企業の場合一般的に社内言語が英語に統一されているケースも多く、日本人でもハードルが低く内定を得ることが可能です。また、内部の環境は自由闊達であることが多く、むしろはまる人にははまるかも知れませんね。

社員に直接聞く

ドイツならでは、という方法ですが、単刀直入にその企業で働いている社員に直接聞いてしまうという作戦もあります。日系企業であれば、大抵知り合いの知り合い、といったことが多く、デュッセルドルフやフランクフルト界隈では割と人づてに繋がることができます。

また、SNSなどを駆使して、以前働いていた人等に直接コンタクトすることも可能です。基本的には返事が来ないことのほうが多いですが、何かしらリアクションをくれるケースも少なくありません。

信頼のおけるルートで応募する

最後に、ドイツ就職に対する知識がないまま手あたり次第の求人に応募することはやはりリスクが生じます。弊社のような在独日系企業向けリクルート会社は、求人元の仕事内容が適切であることを先立って確認するため、こうしたブラック企業と呼ばれる求人を引き当てる確率を軽減することに役立ちます。

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