ドイツの大学・大学院を卒業してドイツ就職を目指すスケジュール

ドイツでの就職を夢見て、一旦ドイツの大学や大学院を受験する層は一定数存在します。もっとも、巷に就活のためのガイドブックなどが出回っているわけではなく、全て手探りで行わなくてはいけないため、日本の就職活動よりも難易度は高いと言えるでしょう。

それでは、ドイツの大学や大学院を卒業し、ドイツで就職するにはどのようなスケジュールを辿ることになるのでしょうか?また、そのような書類や項目が準備事項として必要なのでしょうか?詳細を追っていきましょう。

学生時代に力を入れること

就活準備に先立って、自分が面接でどのようなことをアピールできるのか再度確認していきましょう。ドイツの就職面接では、学生時代の実績について深掘りされます。要するに、「大学院の成績」と「インターンの実績」です。その他の、バイトや部活動と言った学業や仕事に直接関係しない活動内容はほとんど評価の対象になりません(学業内容を活かすバイトや部活動などであれば別ですが)。

そのため、以下のような内容を面接では準備しておく必要があります。

大学院の成績

ドイツの就職システムは基本的に「大学での専攻がそのまま社会人としての職種」に繋がってくるため、当然のことながら大学院時代にちゃんと専攻の履修をおこなったか、行ったとしたらどれくらいのパフォーマンスや成績を残せたのか、といった部分について深掘りをしてきます。

このへんの指標として使われやすいのが「成績(GPA)」「上から数えて成績上位何%か」「大学院卒業までにかけた年数」などで、他にも論文がジャーナル雑誌などに掲載されたら大幅なプラス評価です。

一般的には、成績がGPA換算で2.5以上あればインターンなどの足切りにあうことは少なくなり、3.0以上あれば成績が足かせになることはなく、3.5以上あれば成績を売りに就活ができるレベル、といった印象です。ただ、大学のレベルによって成績には偏りがあるので、あまりにも自身の大学院のレベルが高すぎる場合、「上から数えて成績上位何%か(これは成績表に記載されることが多い)」も一つの指標になります。

インターン

ドイツの大学院生は在学中に7~8割前後がインターンを経験すると言われています。ドイツの企業は「未経験者」を嫌う傾向にあるので、インターンを通じて職歴を上げ底する必要があるというわけです。インターン中は休学手続き等をおこなって、半年くらい学業を離れることになりますが、学生によっては卒論と並行するようなスケジュールでおこないます(卒論は、教授と面談したりプレゼンを作成したり忙しいので、フルのインターンと並行は難しい)。

ドイツ企業はホワイトで知られるのですが、インターンとなると話は別で、企業も簡単に首切りしやすく、学生は認められるように必死で働きます。そのため、インターン生や実習生によるサビ残はドイツでの社会問題の一つになっていますね。

就職の情報収集・就活

ここでは、就活とインターンを一緒くたに考えましょう。ドイツ企業であれば基本的にインターン→正規雇用、という流れが多く、特に学生の場合はインターンでポジションを見つければ、インターン後にかなりの確率で正社員採用のお声がかかります。また、後述の通り在独の日系企業であればインターンをおこなわずに採用に至るケースもあります。

就活メッセや学内情報

こうした就活イベントは、町全体で開かれることもあれば、大学が母体となって企業がやってくることもあります。企業の採用担当がブースにやってくるのですが、ここで応募できるわけではなく、あくまで情報収集です。地元の中小企業などがよくやってきているイメージですね、こういった企業はインターネット上でも探しづらく、穴場となっていることが少なくありません。

まれにその場でエントリーをしたり、採用担当者の情報を得ることが可能ですが、一般的には良い企業を見つけたら、後程オンライン等を通じて応募することになります。また、定期的に開催される就活メッセとは別に、学内の掲示板などにも通年、企業の求人募集が出されています。その学生をターゲットにしていることが多いので、応募するとかなりの確率で書類選考はクリアできます。

リクルーター経由

オンライン上の求人に出回っていない案件にリーチする良い方法として知られています。特に、在独の日系企業で欧州市場に力を入れているような会社であれば、ドイツの大学や大学院を卒業した日本人を積極的に採用したい傾向にあります。

リクルーターを通じての応募の特徴としては、自身のキャリアやスキルに見合った会社を紹介してもらえることで、この点で後述するようなオンラインポータルでランダムに手あたり次第応募をする、という手間を省き、ミスマッチを防ぐことができます。

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オンライン応募

ドイツ人にとって最もポピュラーな就活フォームが、オンラインポータルによる応募です。就活メッセとの違いは、自分で条件を指定して探すので、知られざる穴場企業を見つけることは少ないという点ですね。

STATISTA1, STATISTA2を元に著者作成)

日本人ならばやはり「Japanisch」など日本に絡めたキーワードで検索することも多いと思いますが、そういった案件は大抵日本人や、日本学を専攻したドイツ人などの激しい競争に晒されるため、中々返事を貰いにくい傾向にあります。

知り合いの紹介

ドイツに住んでいると結構な確率で、友人の紹介経由での求人募集があります。ドイツ全体の3割程度はこうしたビタミンB(Beziehung)経由での内定であると言われます。ただし、知り合いの紹介だとしても書類選考や面接はあるので注意が必要です。あくまで、オンライン等を介して応募するよりも採用担当者の目に留まりやすくなる、というだけです。

ビザ・スケジュール

日本人ならではの問題ですが、卒業のタイミング、ビザ切り替えのタイミング、就労のタイミング、この3つを上手く組み合わせないとビザが切れて詰んでしまいます。 また、大学のある都市で就職できれば理想的なのですが、場合によっては別の都市に引っ越すことも。その場合ビザ切り替えの難易度がプラス2くらいあがることとなります。

インターンのタイミングと就労ビザ

ドイツ企業で就職したいのであれば、在学中のインターンは必須条件と言えるでしょう。ただ、この場合スケジューリングが複雑になりがちです。まず、ドイツの大学院の規定では、基本的にセメスター内の半分以上のインターンでないと、休学の対象にはならないケースが多いという注意が必要です。なので、中途半端に夏休み8月~10月とかの期間だと休学申請がおこなえずに、学業と並行してフルタイムのインターンを受けることになってしまいます。同じ理由で、1ヶ月とか2ヶ月とか、中途半端な期間のインターンも避けるべきです。

また、卒論との兼ね合いも重要です。3セメスターを終えた時点で1セメスター分を休学し、インターンにあてるといったケースも多いのですが、その場合の問題が、企業がインターン後すぐにでも採用したいといった場合です。そうした場合でも、まだ卒論が残っており、企業側に半年待ってもらう形になります。半年なら企業側がかろうじて待ってくれるラインかもしれませんが、卒業が1年後、1年半後だと採用者側はそこまで待ってはくれません。

加えて、就労ビザに関してですが、一般的に(※最終的には外人局の判断に委ねられますのでご注意ください)専攻に関連する業務内容であれば就労ビザに切り替えずに在学のままでインターンが行えるケースが多いです。

卒業とビザ切り替えのタイミング

一般的に、大学院生活は卒論の提出をもって締めくくられます。学業の集大成ということもあり、ドイツの卒論はかなり厳格を得ることで有名です。そのため、どんなに早く終わるとしても、最低3ヶ月は見ておくべきでしょう。場合によっては半年、1年近い長期戦になることも考えられます。

卒論の良いところは「卒論開始」の合図を出す前から既にリサーチや資料集めを開始しても問題のないところです。教授もそれを理解しており、ギリギリまで、学部に「卒論開始合図」を出すのを待つようにアドバイスしてくれます。

仮に3月末を目標に卒業、4月1日から仕事開始したければ、前年の夏ごろにはリサーチや資料集め、コンセプトの設定を終えておき、冬セメスターで卒論を登録、9~11月くらいに卒論を完成させれば、クリスマスをまたいで2月頭くらいには教授の成績が帰ってきて、2月中~遅くとも3月には卒業できます。

ちなみに、学業ビザ→就労ビザへの切り替えには2~3ヶ月みておく必要があるので、卒業後に切り替えても4月の始業には間に合いませんが、ここは学業ビザ→就労ビザへの過渡期ということで、仮ビザの発行をもって3ヶ月は働くことも可能です(※判断は外人局の判断に委ねられますのでご注意ください)。

大学を卒業しドイツの企業に就職する際の時系列(例)

時系列イベント
2020年6月 教授にファーストコンタクト。書きたい卒論のテーマについて話す
2020年7月 夏セメスターの試験シーズン
2020年8月 教授にセカンドコンタクト。卒論登録は次セメスターで良いので、夏休み使ってリサーチ、資料集めを進めておくように助言される
2020年8月~10月 リサーチ、資料集め。教授とは1ヶ月に1回くらいの頻度でコンタクトし、方向の調整。同時に大学に提出する卒論テーマを準備
2020年10月 冬セメスター開始。卒論テーマの学部への登録、これにより締め切りカウントダウンが始まる
2020年12月 卒論提出。卒論テーマを学部に提出してから3ヶ月での提出だが、実質リサーチを夏からはじめていたので実働では半年くらい
2021年2月 教授から成績が返ってくる。卒業証明書などはここから卒業のための手続き(学生証の返還等)を済ませ、2ヶ月後くらいを目途に貰える。
2021年2月 就労ビザへの切り替え。注意点として、就業までに住所が変わるとまた一から登録しなおしになるので、就職にともない住所が変更される場合、引っ越してからしたほうが便利
2021年3月 最後のモラトリウム、春休み!
2021年4月 仕事開始。この時点で就労ビザはまだ手元にないが、仮ビザによって3ヶ月の猶予がもたらされる。

ビザの面で結構優遇措置が多いのがドイツの大学生の特徴です。インターンもできますし、仮ビザも発行してくれるので、企業が就労ビザを心配に内定を出せない、ということが起こりづらいでしょう。

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