ドイツの日系企業とドイツ企業、どちらに就職するのがおススメ?
ドイツには2,000近い日系企業が法人を構えており、ドイツ市場、あるいは欧州市場展開の橋頭保として日々優秀な人材の採用に余念がありません。そう言った事情もあり、毎年ドイツに移住する日本人の中でもドイツの日系企業に就職する人の数は少なくなく、例えば当社経由での採用の中では日系企業への就職はマジョリティを占めています。
さて、多くの人が疑問に思われるかもしれない問題として、ドイツの日系企業とドイツ企業、どちらで働くのがおススメか、というものがあることでしょう。勿論、仕事環境や給与面など、どの点を切り取って比較するのかによって異なりますが、今回の記事では極力フェアな目線からこれら2つの就職カテゴリを比較していきたいと思います。
給与
さて、給与についての平均値は以前の「ドイツでの給与」の記事で概算から額面と手取りの差など、一定の情報を記していますので参考にしてください。具体的にドイツのドイツ企業とドイツの日系企業とで給与水準に差があるのかという疑問に関して、確固たる統計データはありませんが、基本的にドイツのドイツ企業のほうが給与値では多くなる傾向にあります。
もっとも、これには注意点があり、ドイツは典型的な「職歴至上主義」の国です。そのため、同一職種で長く働いている人ほど、経験の長いほど良い給与を得られるシステムで、特に30歳以降の中堅クラスの給料は先進国トップクラスと言えるでしょう。ただし、ドイツで職歴を持たない日本人がドイツに就職してその額面通りに給与を得られるのかというとそういうわけではなく、実際にはまたゼロからキャリアのステップを上がっていくことになります。
そのため、単純に同一ポジションにおけるドイツ企業と在独の日系企業の給与平均値を比較すると、ドイツ企業のほうが高い傾向にあるかもしれませんが、それはドイツに来たばかりの日本人が得られる水準とは限らず、実際に日本人が就職可能な職能としてはむしろ日系企業のほうが高くなるかもしれません。
仕事環境
多くのデータの示す通り、ドイツはワークライフバランス先進国です。そのため、ドイツ企業の中では17時には帰れることが多く、むしろ16時や15時に直帰するといった話もあります。2019年以降はコロナの影響でオフィスにすら行かない、といった人の話も新聞などでよく取り上げられていますね。
対して、これがドイツに拠点を持つ日系企業やアメリカ系企業となると、残業などがやや増える傾向にあります。まず、時差の影響が大きく、他の国と電話やプレゼン、重要なメールの返事待ちなどをする機会が多いので、こういった場合には残業が発生します。とはいえ、ドイツの法律でわりと残業規制が強く定められているようで、日本のような度を超えた残業は発生しません。18~19時まで会社に残る必要が出ると、「あ、今日は残業が長いな」と感じるようなニュアンスでしょうか。
人付き合い
ドイツでは、完全に仕事は仕事、プライベートはプライベートなので、人付き合いは楽と言われます。仮に上司や同僚と喧嘩しても、明日には引きずりません。たまに、職場内でも気心の知れた同僚と、一年に2~3回くらい飲みに行く程度ですね。
ドイツにある日系企業では、それなりに日本の文化を引きずっているので、やはり社内の人付き合いは残ります。ただ、こうしたある種の「仲間内での付き合い」は、孤独になりがちな海外生活にある種精神安定のような効果をもたらすこともあるため、一概にどちらが良い文化とは比較ができないかも知れません。
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有給の取りやすさ
労働日数などによって異なりますが、基本的にドイツでは年間20~30日くらい有給休暇が取れます。つまり、日本でいうお正月休み級のお休みを年に5回程度楽しめるわけです。有給休暇でいえば、ドイツにある日系企業もドイツの労働法に基づくので、やはり同じく有給休暇を取れる傾向にあります。もっとも、本社の繁忙期など、有給休暇の取りづらいシーズン、というのは存在するかも知れません。
また、よく言われる通り、ドイツの祝日数と日本の祝日数が違う点に注意しなくてはいけません。州にもよりますが、大体年間に10日程度で、振替休日化しないため日曜と被ると損をします。日本では三が日や大晦日を除いても15~16日あり、なんだかんだ20日前後の休みとなります。このへんの事情に関しては「日独祝日の比較」の記事を参照してください。
専門知識の習得
ドイツで働くことのメリットはこの「専門知識の習得」の部分が大きいでしょう。営業畑の人間でも、ドイツ企業では研修や専門知識習得のターゲットとなり、英語とドイツ語の鍛錬に加え、ビジネススキルやマネージャー研修など、様々な研修に顔を出すことが可能です。
今日本でも流行っている「ジョブ型雇用」の中心地はまさにドイツで、会社を辞めてからも生き抜ける知識を習得することが可能です。 こうした専門知識習得のチャンスといった意味では、在独日系企業についても同様ですが、やはりポジションによるところが大きいでしょう。最も、仕事を通じてドイツ語&英語が自然に修練されていくのも大きな強みと言われ、そうした自己鍛錬の場を求めてドイツに就職する人々も後を絶ちません。
人情
ドイツ企業の良いところばかり目立つようですが、ドイツ企業は冷淡な判断をくだすという、従業員にとって大きなマイナスポイントがあります。成果が出ないと簡単に首切りを行い、売上のためには簡単に取引先を切る、といったドラスティックな側面は、日本型のやや温かみのある文化に育った我々からしたら、少し恐怖感を覚えるのではないでしょうか。
契約書文化に紐づくドイツにあっては、たとえ長年の同僚や仕事仲間であっても、契約次第では簡単に職場からいなくなってしまいます。この意味では、契約書だけでなく、義理や人情といった人間味のある判断を下しがちな在独の日系企業のほうが日本人の性格にあっているかもしれませんね。
入社容易度
ドイツのドイツ企業でポジションを得ようと思うと、運の要素が強く働きます。英語もドイツ語も堪能に話せることが前提であり、加えてエンジニアやリサーチャー、世界中と渡り当たれるバリバリの営業スキルなどが必要なわけで、単に外国語学科を卒業したから就職できる、という世界ではありません。また、そもそもドイツの人事部からしたら就労ビザ取得の手間がかかる日本人を採用する意味合いは薄く、同一条件であればドイツ人や、EU国内からの応募が優先されがちです。
対して、ドイツに進出している日系企業であれば、日本語が話せ、日本の本社と折衝できる人材が求められるわけで、ここに付加価値を見出してくれます。そのため、純ドイツ企業に比べると採用の確率は大きく上がると言えるでしょう。
ドイツの会社 | ドイツの日系会社 | 日本の会社 | |
---|---|---|---|
給料 | 比較的高い | 高い | 普通 |
仕事環境(残業など) | 非常に良い | 良い(一部残業があることも) | 普通 |
人付き合いの多さ | 少ない | 普通 | 多い |
有給の取りやすさ | 取りやすい | 取りやすい(繁忙期を除く) | 取りにくい |
専門知識の習得 | しやすい | しやすい | 職種による |
手心・人情 | 冷たい判断が多い | 情を交えた判断がある | 情を交えた判断がある |
日本人にとっての入社容易度 | 難しい | 普通 | 普通 |
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